────手探りの、恋だった。

たった一目で囚われた。

けれど、それは叶えることも、口にすることさえも許されない想い。

「金貨三十」

「……では、夜伽を……」

だから、それは錯覚なのだ、と。

「お前は俺が買った」

「あなたが私を買ったあの日から、私はあなたのものです……」

この想いは、気の迷いなのだ、と。

「……奴隷など抱いては、ご主人様の身が穢れます」

「俺ならいいわけだ」

「あの男に身体を許したのか?!」

そう思わないと、傍にいることに耐えられなかった。

「恋とは、落ちるものではなく────堕ちるものなのかも知れない……」

待っているのが破滅でもいい、と思った。

あの人だけは美しいままでいて欲しい、と思った。

「捜したよ、シェラ」

「あの方のもとへ、行かせて下さい。それがダメなら────殺して」

唯一の願いは、ともにあること。

たったひとつの望みは、あの人の幸福。

「……私には、失うものなんてないから」

願い

「私が死んだら、涙を流してくれますか?」

近日後悔──いや、いや、公開予定。

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